熊野市飛鳥小学校と五郷小学校の4年生7人が16日、神山生活改善センターと光福寺で地域に伝わるジャジャツクについて学んだ。
両校の合同社会見学として行われたもので、「ジャジャツク」とは釣鐘と大太鼓を並べた楽器。打ち手が右手にシャマタと呼ばれる二股の打棒を持ってジャジャツクを鳴らすと、鐘と太鼓は同時に鳴って音を刻む。左手にはシュモクと呼ばれる内棒で時折、鐘や太鼓を鳴らしリズムをひきしめて、独特の雰囲気をかもし出す。江戸時代末期に、熊野地方の曹洞宗の各寺で盛んに行われていたと言われているが、現在では光福寺のみで行われている。昭和44年には熊野市無形民俗文化財に指定され、昭和46年に保存会を結成したが一昨年に解散している。
この日は同町の福田哲夫、福村直昭、二階堂昭さんが講師として来訪した。はじめに福田さんが「ジャジャツクは神山に昔から伝わる伝統芸能だが、皆さんのように若い人に勉強してもらって知ってもらうことが嬉しい。しっかり頑張って下さい」と挨拶。続いて福村さんがジャジャツクについて「『ジャンジャンつく』という言葉からきている。元々は新しいお坊さんを迎える晋山式が終わったという合図で、晋山式の厳かな雰囲気の解消を告げる「江湖開静」(ごうこかいじょう)として打ち鳴らされたもの。昔はどこのお寺にもあったが年月を経て光福寺だけに残った。近年では盆踊りの開催を告げる音楽として神山に根付き、盆踊りとこの音で何とも言えない良い雰囲気となっていた」などとし、「基本のリズムはあるが、叩き方は自己流で良いとされ、昔は音色を聞けばその叩いている人物がわかったそうですよ」と説明した。
映像で過去の演奏を視聴したあと、二階堂昭さんが模範演奏を披露し「夏に遠くから雷がだんだんと近づき、大きな雷鳴を轟かせてから去っていくというイメージ」などと表現。児童たちがジャジャツクを体験し右手で「刻み」、左手で「打ち込み」を同時に打ち鳴らす独特の演奏方法に悪戦苦闘しながら、練習を重ねていた。
その後は光福寺で実際の道具を見学し、演奏も体験。福田さんは「こうして経験してくれるのは嬉しい。いつかこの子たちが打ち鳴らす日を楽しみにしています」と話していた。