三重県立紀南高校の1年生12人が12日、熊野道路や砂防堰堤など建設業の工事現場を体験した。ICT(情報通信技術)やGPS(全地球測位システム)、ドローンなど技術革新が進む現場への認識を新たにし、地域の安全を守る建設業への興味を深めた。
三重県建設業協会熊野支部が国土交通省や三重県熊野建設事務所と連携し実施した。同支部では7月に紀南高校1年生を対象に建設業の説明会を行っており、今回、関心を強めた生徒が職場体験研修に参加した。
紀南高校では建設業協会や県職員らが昨今の異常気象や土石流の恐ろしさなどを語り、砂防事業の必要性や対策などを伝えた。生徒らはバスで紀宝町神内の神内川水系里地谷の通常砂防工事現場へと向かい、工事を受け持つ徳田組から説明を受けた。
午後からは熊野市大泊町と久生屋町を結ぶ国道42号線「熊野道路」建設に伴う、有馬南地区南道路建設工事での地盤改良の現場を訪問した。国土交通省紀勢国道事務所の職員が、国民の命と暮らしを守る使命をもって社会基盤整備に取り組んでいることを語った。
職員は「熊野道路が完成すれば1日約1万台の交通量を想定しており、毎日1万人以上の生活を支える。道路は社会に大きな影響を与え、観光や産業支援、災害時の避難や救援など地域に貢献します。建設業はやりがいのある、生活を支える『人のためになる仕事』と呼びかけた。
この後、生徒たちはユウテックの有城和哉代表取締役らから工事概要や3DやICT、レダースキャナー、ドローンなどの機器などの説明を受けた。バックホウ・ブルドーザの操作やドローン操縦も体験。興味津々の様子で取り組んでいた。
男子生徒の一人は「建設業に関心があり、将来の進路に考えています。現場はハイテク化がすごく、自分の想像する建設現場とイメージが違った。将来は建設業に進みたいと思った」と意欲を高めていた。三重県建設業協会熊野支部の井本伊織支部長は「入職者を確保するため若い年代から興味を持ってもらいたく出前授業などを行っています。少しでも関心を持ってもらい、将来、建設業界に就職してもらえたら嬉しい」と話していた。