紀南地域高等学校活性化推進協議会の令和3年度第2回会議が22日、オンラインで開かれた。会議の様子は傍聴希望者にYouTubeでライブ配信された。委員からは木本、紀南両高校の将来を見据えたあり方について、複数の校舎を使用し一つの学校として機能させる校舎制や、出来る限り2校存続を希望する意見が出た。円滑な議論のため県教育委員会が全体構想を示すよう求める声もあった。
同協議会は紀南地域の高校の特色化・魅力化を図り生徒にとって魅力ある学習環境を整備するため行われているもの。学校や地域代表者ら20人が委員を務め、今年度は紀南地域の子どもたちの学びや、令和7年度に紀南地域全体で県立高校が5学級規模になる見込みを踏まえた高校の規模と配置などを論点としている。
はじめに県教委の大屋慎一教育政策課課長が活発な議論を呼びかけ挨拶。県教委事務局がこれまでの協議内容や意見を振り返ると共に、バスや鉄道など通学に関するデータなどを示した。
引き続き、紀南PTA連合会の高垣裕人会長が2校の強みを生かし物理統合ではなく、論理統合を検討することに意義があるとし、現在の文科省等の規制の枠外での新案を検討すべきで、現存する使える校舎、設備は流用、新制度の設立案の模索を提案した。
この後、協議が始まり、県立高校教員代表の寺前淑湖委員は、前回の協議で生徒数から統合はやむを得ないかもしれないと思いつつも「校舎制で行ければ、紀宝町からも自転車で通うことが出来る」と、選択肢を残すことの必要性を語った。
学校関係者からは子どもたちの人数や学級数により職員定数も決まってしまう教育現場の厳しい現状が示された。様々な条件から熊野市と紀宝町の子どもにとっての最善は異なり、地域全体で答えを出すことが難しいという意見や、コロナ禍での分散登校やオンライン授業など、学びの選択肢や多様さも重要になってくることも述べられた。
熊野市の倉本教育長は、平成28年度の協議会で県教委が「県の財政状況から新たな箱物建設は出来ない」との認識を示したことについて、現時点でも変わりないかを確認。大屋教育政策課長は「そこは過去の状況と変わらない」と理解を求めた。
紀宝町の矢渕中学校で勤務経験のある御浜町の本誠一教育長は、紀宝町の中学生は進学を考えた時、木本高校よりも和歌山県の高校を志願する状況があったことから「端的に木本が大学進学、紀南が幅広く就職という考え方は変えていったほうが良いのでは」との考えを述べた。紀宝町の西章教育長は、県教育委員会としての県立高校のあり方についての全体構想を示したほうが、議論が進みやすくなることを語った。
紀宝町商工会長で紀南高校同窓会長でもある田尾友児委員は「地域からも2校存続を願う声もかなり大きく、実際僕らもそう思っています」と学校現場の努力なども含め両校存続への想いを語った。統合する場合にはスクールバスなど生徒たちの通学支援の必要性も話した。
紀南高校学校運営協議会の廣畑勝也会長は、紀南高校の普通科、木本高校の普通科と総合学科の配置も一考するよう求めた。この他、リモート授業などICT活用や子どもたちのコミュニケーション能力向上、登下校の安全など様々な議論が行われた。次回の協議会は11月前半を予定している。